松岡:電通総研は、株式会社電通と米国General Electric Company(GE)のジョイントベンチャーとして1975年に誕生した会社です。先進的な情報技術をベースに、アイディアとクリエーティビティを掛け合わせたIT専門家集団として成長してきました。
金融ソリューション、ビジネスソリューション、製造ソリューション、コミュニケーションITという4つの事業領域で培ったソリューションを通じて、日本を代表する金融機関や製造業の企業などのお客様に新しい価値を提供。次代に向けた新たなサービス開発にも積極的に取り組んでおり、近年では、AIトランスフォーメーションセンターやエンタープライズxRセンター、UXデザインセンターを設置。電通総研が業務を通じて培った知見、技術、人材を各センターに集約することで、先端技術領域における顧客企業への付加価値最大化を目指すと共に、加速する企業のDXをサポートしています。
松永:今年(2021年)は中期経営計画(2019年~2021年)の最終年であり、人材投資を前計画から120億円増額し、グループ連結で300名超の増員を目標に掲げています。増員計画は2021年5月時点ですでに達成見込みとなっていますが、人材の強化が不可欠と捉えるのは、当社の競争力の源泉が人材、すなわち社員一人ひとりだからです。元請け企業としてお客様企業と直接向き合い、課題抽出のコンサルティングからご提案、実装、稼働そしてお客様のビジネスの成功までを一貫してサポートする当社では、これまでもさまざまなバックグラウンドを持ったキャリア入社者を数多く受け入れ、現在はおよそ社員の4割がキャリア入社です。各ビジネスに応じた専門性を持つ方が多く入社してくるということもあり、これまでは入社日に人事部で各種制度に関するオリエンテーションを行った後は、すぐに現場に入り、業務を進めながら必要なことをキャッチアップしていくという流れでした。
松岡:当社では新卒入社者向けには手厚い研修を実施しています。現場に正式配属される前に6ヵ月かけて各種研修を行い、メンターやOJTリーダーが立ち上がりをしっかりと支援しています。私達がキャリア採用担当を任され、真っ先に考えたのはキャリア入社者に対する立ち上げ支援の再設計の必要性でした。本格的に検討を開始したタイミングで、ちょうど最初の緊急事態宣言が発令され、全社員が一斉にテレワーク中心の働き方に変わりました。
松永:電通総研では2017年から全社員がテレワークをできるように環境も制度も整えていましたから、テレワーク主体の働き方への移行はスムーズだったと思います。しかし、キャリア入社者の不安は大きいことが予想されました。状況を正確に把握するために、積極的にキャリア入社者と面談を実施しましたが、その中で聞こえてきたのは、テレワークで顔が見えないなか、人間関係をつくることや、仕事の壁を乗り越えることの難しさです。2020年の緊急事態宣言中は、入社初日から自宅というケースもあり、これまで以上に受け入れの工夫を行う必要がありました。