私がバンダイの人事部にきたのは3年半ほど前のことです。それまではグループ会社で、アミューズメント施設の支配人や人事、総務などを経験してきました。
支配人として猛烈に働いていた20代後半、体調を崩して休んでしまった時期がありました。自分が1人で何とかしなければ、と気負いすぎてしまっていたのかもしれません。しかし、休んでいる間も、みんなが頑張って施設を運営してくれ、大きな問題は起こりませんでした。これは、当時の私にとっては大きな気づきになり、「みんなを信じて任せていいんだ」ということを実感しました。そして、「任せられる人を育てること」「任せられる仕組みをつくること」を深く考えるようになったのです。
現場でさまざまなマネジメントにもチャレンジしました。あえて強権的なリーダーを演じてみたり、オヤジギャグを飛ばす気さくなリーダーを演じてみたり。一番結果が出ないのは強権スタイルで、数字が下がって焦っているときにアルバイトを一喝してしまったこともありました。アルバイトの学生から「塚本さん、このままじゃダメです。変わってください」と訴えられた苦い記憶もあります。
最も結果が出たのは、部下の声を吸い上げるフラットなマネジメントスタイル。ちょっとした雑談や冗談から、優れたアイディアが生まれることもありました。こうした試行錯誤の結果「塚本の下で人が育つ」と評価され、人事部に異動することになったのです。