株式会社日本SPセンター
4BU チーム長 前島 一仁 様
最初にINSIDESというサーベイが導入されると聞いたとき、「そういう時代なので必要か……」と思いつつも、正直なところでは「受け入れたくないな」「現場レベルではどうにもできないよ」という気持ちも強くありました。
私の世代(取材当時40代前半)は「苦労は買ってでもしろ」と言われて育ってきましたし、つらいことがあったとしてもケアされることなんてありませんでした。採用も、そんなに強化しなくても人が来るような時代もありました。なので、部下をケアする、という考えが分かるようでよく分からない、といった感覚もあります。
ただ、少しずつチームメンバーが入れ替わるなかで、自分とは年も価値観も異なるメンバーが増えていきましたし、採用も難しい世のなかになって、逆に転職して出ていく人も増えました。そんな世のなかだからか、INSIDESのような「メンバーのコンディションを可視化する」というサービスが流行っているのは知っていたので、それがうちにも導入されると聞いたときは、特に大きな感情もなかったのですが「時代だな」と思ったのです。
実は、導入されたタイミングは、ちょうど私のチームのコンディションが芳しくないときでした。当然、サーベイの結果には「窮々」とか「悶々」とか悪い結果が並びます。
状態が悪いことは私も自覚していたので、結果を見たときには「まぁ、そのとおりだな」と。一方で「だからといってどうしようもないな」とも思いました。新しく人事で入ってきた久嶋さんがいろいろと頑張っているなとは思っていましたが、「受け入れたくない」という気持ちもあったのです。
そして、そのあと「窮々」や「悶々」といった人たちは退職していきました。
ただ、INSIDESの結果を見るなかで、徐々にではありますが私のマネジメントに対する考え方も変化するところがありました。今までだったら意識して考えることのなかったメンバーの心理状況というものを、定期的なタイミングで触れることになるので、考えるきっかけができる、というのは1つ大きなところだと思います。結果をすべて鵜呑みにするわけではないのですが、普段自分から見えている様子と違ったり、逆に見えているままだったりするなかでメンバーは何を考えているのだろうかと考える時間が増えました。
もともと私は、メンバーに対して「こうなってほしい」、「業務はこうあるべきだ」など、たくさん伝えるようにしていた方なのですが、試行錯誤のなかでスタイルを変え、今はどちらかといえば、話を聞くということを優先するようにしています。人にはいろいろな価値観があるので、それを変えることは難しい、私にできるのは環境を整えてあげることなのだと、今は思っています。特に、本人がやりたいことに対して、邪魔をしない、ということが大事なんだと思います。
こうした考えになる過程では、他部の先輩マネジャーと話すなかで刺激を受けたということも大きく影響しています。その方のチームは、私から見るととても雰囲気が良さそうに見えますが、先輩マネジャーがいろいろと悩まれているという話を聞いて。より良いチーム作りに向けて試行錯誤している姿を見て、マネジメントの在り方を考えるようになりました。
INSIDESが入ってからの変化としてもう1つ思うところでいえば、経営的な視点からの課題をあれこれと考えるようになったことです。メンバーを良い状態にしてお客様からも満足いただける状態をつくろうとすると、おのずと現場の視点からだけで考えていても行き詰まります。
メンバーをどうマネジメントすればよいか、というのは立場によって答えも違うように思っています。私たちの仕事は対クライアントワークですので、クライアントの視点でいえば、要望に対しては全力で応えていきたい、という思いが強くあります。一方でメンバーを預かるマネジャーとしての視点から見ると、やはり社員がよく離職してしまう状況というのは具合が悪いし、何よりもメンバーみんなが活力をもって働いてほしい、と思います。どうすれば、これらを両立させていくことができるのかを模索してくなかで、おのずと経営の観点から物事を考えるようになりました。
久嶋さんとは、最初はINSIDESの結果などをめぐっていろいろと意見がぶつかるようなやり取りもあったのですが、今では、組織や会社の未来について率直に意見を言い合えるようになりました。当社には長らく、人事、特に教育や組織といったことに関わるようなポジションはなかったのですが、久嶋さんがこの会社を良くしよう!と頑張ってくれていることを今はとても頼もしく思っています。