私たち三和は、1958年創業の会社で、東京都西南部と神奈川県全域に「超ドミナント戦略」でスーパーマーケット「sanwa」「FOOD ONE」や、ショッピングセンター「AMELIA」を合わせて77店舗(2024年1月現在)展開しています。
私たちは新卒採用に力を入れており、毎年50~80人を採用しています。2023年度は、66人の新入社員が入ってきました。私たちは現在、この新人たちを「入社後研修」と「メンター制度」で丁寧に育成する方針を取っています。
「入社後研修」は、入社してから4年にわたって月1回受講しつづけてもらい、現場の接客やマナー・ルール・ノウハウの基本を深く習得してもらう場です。私たちの現場には、催事など1年に1回しか経験できないこともありますから、実践知をしっかりと身につける期間として、4年は決して長くありません。加えて、入社後研修は新入社員の悩みに耳を傾ける支援の場でもあります。
「メンター制度」は、主に新人の離職率低減を目指して2019年から始めました。離職のなかには、どうしようもない離職となんとかできる離職があります。私たちは、新人一人ひとりにメンターをつけてコミュニケーションを増やし、「なんとかできる離職」を減らすことをねらったのです。メンターの先輩たちは皆イキイキと働いています。新人たちがそうしたメンターと接して良い刺激を受けることが、「なんとかできる離職」を減らすことにつながるのではないかと考えたわけです。
メンター制度では、必ず他部門の先輩がメンターにつきます。直属の先輩には言いづらい内容も、他部門の先輩になら言える場合もあると思います。私自身、体験者として、メンター制度は意義ある制度だと感じました。メンター制度を通じて他部門の先輩と関わりを持て、社内の人間関係が広がりました。人間関係の構築も、さまざまな面で離職防止につながります。
私たちがこのように手厚く人材育成をする理由の1つは、新人たちがたとえ離職したとしても、三和で社会人として成長できた・三和に入ってよかったと思ってほしいからです。私たちは、「社会人として成長できる会社」でありたいのです。また、退職後にお客様として当店を利用してくれることもあると思いますので、いつまでも良い関係を築きたいという気持ちもあります。
初年度の2019年度は、メンター制度をまずやってみることが最も重要でした。そのため、プロセス上改善すべき課題がいくつもありました。例えば、メンターには定期的に「面談シート」を書いてもらっていました。ただ、私たちは業務特性上、店舗スタッフは個人PCを支給されていませんから、各店舗から手書きのシートをFAXで送ってもらい、その内容を人事がPCに打ち込むやり方を取っていたのです。メンター制度は初年度から想定以上にうまくいったのですが、この面談シートのやり取りの仕方では大変だ、とも思っていました。
また、大きな課題の1つは、「うまくいっているメンターとそうでないメンターの違いが見分けられない」ということでした。メンターの成果を評価する指標を持っていなかったのです。私たちはこうした課題を解決し、メンター制度を改善できるツールを探していました。