関内:私たち東京ガスiネットは、東京ガスグループ唯一のシステムインテグレーターです。LNGの調達から輸送、都市ガスの製造・供給、エネルギーソリューションへと続く、東京ガスが手掛ける「LNGバリューチェーン」という一連の工程では多数の業務システムが稼働しており、それらの企画・開発・運営を担当しています。さらに、東京ガスグループの「DX化」の推進の面では、デジタルの活用により付加価値の高い新たな事業やサービスを生み出す際に、当社が技術力によって支えています。
馬場:2017年に設立30年の節目を迎えた私たちは、あらためて当社の歴史を振り返り、10年後の自分たちのありたい姿を表した「『はじめて』をカタチにする会社」をビジョンとして制定しました。これからの時代、誰も経験したことのない変化が待ち構えています。「『はじめて』をカタチにする会社」は、これまで築き上げてきたものを大切にしながらも、社員自らが変わり、変えていくという決意の言葉です。
拝詞:新型コロナウイルスによって仕事のやり方が大きく変わりました。リモートワーク(在宅勤務)が定着する一方で、人とのコミュニケーションの在り方も大きく変わり、私たち自身も変化・対応をしているものの、社員同士が顔を合わせなくなったことで多くの上司が部下のコンディション把握や状況確認に悩んでいました。また、コロナ禍に入社した新入社員をはじめ、既存社員も含めリモートワーク(在宅勤務)による弊害として孤独感を持つ社員が顕在化しました。このような状況を踏まえ、より上司・部下のコミュニケーションを活性化・充実化させる必要があると認識し、そのツールの1つとして2021年度にINSIDESのトライアルを実施しました。
2部署及び若年層社員を対象に実施したトライアルの結果、上司の約70%、部下の約60%よりINSIDESが有効であるとの回答を得ました。上司・部下ともに、「コミュニケーションのきっかけを得ることができた」との声を多く聞きました。「お互いの性格タイプが分かって、相互理解に役立った」「コミュニケーションのすれ違いを解決できた」といった嬉しい声もありました。さらに分析の結果、上司がINSIDESを活用してアクションを起こすと、部下にポジティブな効果があることも分かりました。一部には「もともと分かっているので必要ない」といった声もありましたが、全体としてはINSIDESが有効なツールであると判断し、全社展開を決めました。
関内:INSIDESの全社展開にあたり、並行して全社展開を準備していた1on1の支援ツールとしてINSIDESレポートを活用することとしました。その背景には、2022年度の人事処遇制度の改定があります。
私は、当社において「人材」が最も重要な経営資源であると考えています。国内の労働市場ではIT人材が益々貴重になっている現在、仕事を通じた専門性の向上と自己成長を軸とし、専門性の発揮によるパフォーマンスを適切に評価できる仕組みを導入する必要があると考えました。
そこで、社員が入社10年目前後で自らの専門性を主体的に選び、その後は各自のスペシャリティを極めていける人事処遇制度に変えました。
この人事処遇制度において、社員が専門性の選択、キャリアを考える際には上司・部下の継続的な対話が欠かせません。上司・部下の対話の機会として1on1を活用いただき、日々の業務や生活などの会話に加え、キャリアについても会話できる機会として活用してもらいたいと考えています。1on1は、上司のための場ではなく、部下が自ら考え、答えを見つけ出す機会にして欲しいと繰り返し話をしてきました。1on1を続けるなかで、社員一人ひとりが自らのキャリアや生活について考え続け、自らの進むべき方向を見つけ出してほしいと願っています。INSIDESは、そのための補助ツールとして活用してもらいたいと考えています。