導入事例

価値観の変化に合わせたメンバーマネジメントの変革。
アップデートのカギはインサイズ

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トヨタ自動車株式会社様

人事部 技能系人事室室長 小竹 隆之 様
人事グループ長 内田 繁樹 様
人事グループ主任 柳 裕真 様

  • DEI推進
  • 管理職育成
  • 組織開発
  • キャリア自律
  • エンゲージメント向上

背景・課題

自らキャリアを考えてモチベーションを高く保つことの難しさ

小竹:私たちが所属する技能系人事室は、トヨタの技能職(現業職)を対象とした人事組織です。採用・配置・人事制度・要員管理などを担当しています。

私たちがインサイズを導入した背景には、劇的な時代の変化があります。ご存じのように今、自動車業界は100年に一度の大変革の時代を迎え、電動化・自動化・コネクティッド・シェアリングなどが一挙に進んでいます。それと共に、自動車の作り方も大きく変わってきています。

当社の技能職には、各工程に熟練した匠がいます。これまでの若手は「あの先輩のようになりたい」という一心でモチベーションを保ち、腕を磨いてきました。ところがEV化に加えて、自動車づくりにも今までにない技術が導入され、技能職の業務内容や仕事の進め方なども変革期を迎えています。EVに欠かせない電池製造など、新しい領域も生まれました。

これからの技能職には、優れた先輩を目標に腕を磨くことに加え、事業や仕事の変化をよく把握して、自分なりのキャリアを築く姿勢も求められます。これからは、受け身ではなく自ら考え行動を起こすチャレンジ精神も必要です。

上司がメンバーを一人前に育てる役割はそのままに、これからの時代に合わせた「めんどう見」とは

小竹:さらに、人間関係も変わってきています。トヨタでは、上司がメンバーとの間に良好な人間関係を築き、しっかりとメンバーを一人前に育て上げる「めんどう見」を一貫して重視してきました。めんどう見を通してメンバーのモチベーションを高め、イキイキと活躍する社員を増やし、チームの一体感を醸成してきたのです。その積み重ねによって、同じ価値観を共有し、一丸となって力を発揮するのがトヨタの強みです。

そのために、技能職の上司は工場詰所でメンバーと積極的に交流し、メンバーの状況や性格などをよく把握することを心がけてきました。上司を含めたチームメンバーで休日に一緒にご飯を食べたり遊んだりするようなことも当たり前に行われていました。そうした交流によって、上司・メンバーの関係が培われ、チームの一体感が育まれていたのです。ところがこの10年ほどは、さまざまな要因からチーム内のコミュニケーション機会が徐々に減少しています。人にもよりますが、休日に交流するような関係性も少なくなってきました。

内田:以前なら、上司が日々メンバーの顔色や様子を見てコンディションを的確に把握し、悩みを抱えるメンバーをすぐに見つけて声をかけていたのですが、そうした関わりが十分にできなくなってきたわけです。

柳:また、私たちはダイバーシティを重視して「全員活躍」を掲げています。チーム内のコミュニケーション量が減るなかで、全員活躍をどのように実現し、チームワークや個人のモチベーションをどのように維持・向上できるのか。私たちの人事課題の1つとなっています。

小竹:今後も、上司からメンバーへの「めんどう見」を重視する方針を変えるつもりはありません。しかしこれまで説明してきたとおり、時代は大きく変わっています。これからの時代の「めんどう見」をどのように実現したらよいのか。私たち技能系人事室は、その課題に向き合っています。

付け加えると、少子化で高卒人口が漸減していくことなどによって、自動車業界全体で技能職の採用が困難になってきており、大きな人事課題の1つになっています。私たちも状況は同じです。だからこそ、トヨタを選んでくれた若手社員を大事に育てたい気持ちがあるのです。

検討プロセス・実行施策

上司からメンバーへの「めんどう見」をサポートするツールとしてインサイズを導入

小竹:インサイズは、上司からメンバーへの「めんどう見」をサポートし、モチベーション状態を把握するツールとして導入しました。「メンバーのことが分からなくなってきた」という課題を持つ上司たちが、メンバーのメンタリティや困りごとを知るためのツールとして使い始めました。

:インサイズは、上司がメンバーの気持ちを理解し、問題を発見して対策を打つツールとして役立っています。具体的には、上司の期待を下回っているメンバーや、「窮々」「悶々」といった好ましくないメンタリティに陥っているメンバーは、上司・周囲とのコミュニケーションに問題があると捉えて、上司にコミュニケーション改善の働きかけをしてもらっています。

小竹:実際に使用している上司たちのメンバー一人ひとりの心理状態や個性を可視化した「パーソナルレポート」を見て「〇〇はこんな気持ちだったのか!」と驚く声をよく耳にしています。メンバーのことをある程度理解していると思っていた上司でも、実は認識にギャップがあったり、把握しきれていなかったりというケースもありました。

内田:また、経験が少ない上司や、異動したての新任上司からは、「パーソナルレポートがメンバーとのコミュニケーションの糸口になる」との声がよく寄せられます。仕事以外にコミュニケーションを取れる時間はどうしても限られていますから、メンバーとの関係は時間をかけてつくっていくしかありません。そこで、メンバーとの関係がまだ浅い上司にはインサイズが心強い助けになっているのです。

:多くのメンバーを抱える上司のなかには、メンバーが多いと全員を詳細にケアできないという悩みを持つ人もいますが、インサイズの「チームマップ」という機能はこういった上司には非常に助けになります。チーム全員のメンタリティの状況が一目で分かるように可視化されるので、特にメンタリティが悪化しているなど、ケアを必要としているメンバーに優先順位をつけて対応することができます。

成果・今後の取り組み

インサイズのデータ分析で再認識した上司・周囲とのコミュニケーションの大切さ

小竹:インサイズで抽出できたデータを確認し、上司・周囲とのコミュニケーションが大事なのだ、めんどう見が必要なのだ、と再認識しました。インサイズのデータ分析には、ほかにもさまざまな可能性があると感じています。

柳:例えば、業務成果とインサイズデータを重ね合わせた結果、成果が上がっている社員はメンタリティが良好で、成果が上がっていない社員のメンタリティは悪化する傾向にあることが分かってきました。この分析結果を受けて、上司たちには、日々のめんどう見のなかで「パーソナルレポート」を活用しながら、メンバーの成果を承認したり、褒めて伸ばしたりすることが必要だと伝えています。

内田:メンバーが上司に本音を言うのは難しいものです。ところがインサイズを挟めば、メンバーは上司に本音を話しやすくなります。その意味で、インサイズは必要なコミュニケーションツールだと感じています。今後は、インサイズを他の仕掛けと連動させて、より効果を高めていくことも大切だと考えています。

柳:上司がメンバーに寄り添い、一人前にしていく役割の重要性は、昔も今も何一つ変わっていません。ただ、ビジネスや業務内容、世のなかの価値観が大きく変化するなかで、「めんどう見の方法」をアップデートしていく必要があるのです。私たち人事と現場の社員を強力にサポートしてくれるインサイズは、そのアップデートに必要なツールだと考えています。

企業紹介

トヨタ自動車株式会社

100年に一度の大変革の時代。トヨタは「モビリティカンパニー」にモデルチェンジし、「未来のモビリティ社会」の実現を目指しながら、これまで以上に「愛車」にこだわり続け、「もっといいクルマ」をお届けする。

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。