MENU

CASES

部下のコンディションを「見える化」して上司・人事・産業医が連携「健康経営」のPDCAを回し、“笑顔をつくる会社”へ

2211140923_3120

背景・課題

健康経営のPDCAを回すために「見える化」が不可欠だった

中山様の写真

中山:SUBARUは、自動車や航空機といった製品や技術を生み出すだけでなく、「安心と愉しさ」を提供することで、お客様の「笑顔をつくる会社」になることを目指しています。「笑顔をつくる会社」を目指すうえでは、従業員の「働きがい」や「心と身体の健康」、それを支える組織づくり、健康経営が欠かせません。

健康経営とは、従業員が元気に出社し、力を存分に発揮するための施策を打ち、従業員にも経営側にもその進捗を共有しながら、長期的な視点で戦略的に健康増進に取り組むことを意味します。SUBARUの経営戦略を支える基盤の1つともいえるものです。

木綿:私は人事部に所属し、開発部門の安全衛生に関する取り組みの事務局を担当しています。開発部門と人事が連携して従業員の健康を守る目的で、メンタルヘルス推進委員会を発足しました。

委員会では産業医・保健師の助言をもとに人事が進捗の報告、施策の提案を行っています。組織の責任者が取り組み状況や施策の意図を理解していないとうまく回らないため、開発部門の部長も全員参加する形としました。さらに、労働組合も巻き込み、労使が一体となって取り組みに注力しています。

委員会活動のねらいは人材マネジメントの強化と、コミュニケーションの強化、業務の平準化です。INSIDESデータは産業医や保健師と共有・連携して、フォローする体制を整えてきました。

検討プロセス・実行施策

従業員のコンディション(働く状態)を見える化し、職場と人事、産業医が共有

鈴木様の写真

鈴木:私は木綿さんの上司(当時)にあたり、彼らと共にメンタルヘルス推進委員会の取り組みを進めてきました。ストレスチェックなどの結果を人事部、現場の上司は把握していましたが、職場を良くするために個の情報をより客観的に把握する指標を必要としていました。

そこで個人と職場のコンディション(働く状態)を「見える化」し、情報共有するためのツールの検討を行い、メンタルヘルス推進委員会を経て、ストレスチェックに加えてINSIDESを導入することになりました。導入の決め手は、トライアルで実施した際に、良くも悪くも普段感じている姿と違う結果が得られたからです。さらに、結果を知った上司たちからの「状況を改善したい」という声も、導入を後押ししました。

従業員のコンディション(仕事の状態)を見える化するツールのおかげで、「個人の心身の状態を改善すること」と「経営側との情報共有」という2つの側面が、職場と人事、産業医・保健師の共通の物差しになって、生かされています。サーベイの結果が分類されており、それぞれの結果の捉え方や対応についての解説もありますので、情報共有や意思疎通のスピードも加速しました。

表面上は見えない従業員のアラートを察知し、迅速に対応

木綿様の写真

木綿:サーベイでアラートが見つかった場合は、上司の役割が非常に重要です。ツールの活用方法と、結果を踏まえた対応の進め方を理解してもらうため、ガイダンスや説明会を通じて丁寧に周知しました。また、産業医のアドバイスを踏まえて、医学的な見地から心身の状態を打ち明けてもらうための質問も用意しました。もちろん、今も部下へのアプローチに関して、課題感を抱いている上司はゼロではありません。対話がより効果的なものになるように、改善に改善を重ねているところです。

成果・今後の取り組み

取り組み開始後、ストレスチェックの数値が大幅に改善

鈴木:部下が何か悩みを抱えて苦しんでいるときに、上司が気づいて働きかけてあげることで、課題が大きくなる前に解決できるケースが多いと感じています。INSIDESを導入することにより上司が何かしらの異変に以前よりも早く気づいてあげられるようになった手応えがあります。サーベイの結果で苦しんでいる状態が明らかになれば、上司は手を差しのべる必要があることを認識し、対話を通じてお互いが向き合う機会をつくることにより、すべてではありませんが、個々の関係や職場運営の改善につながります。そうしたことが、取り組みを繰り返すことで明らかになってきました。

木綿:メンタルヘルス推進委員会では、成果指標の1つとしてストレスチェックの数値を使っています。サーベイを活用した取り組みがスタートしてから明らかに、数値が改善しました。この結果をもとに、これからは全社で取り組みを強化していく予定です。

3カ月ごとの定点観測が、業務の平準化にもつながる

木綿:また、当社では3カ月に1度のスパンでサーベイを実施しているため、心身の状態を知るだけではなく、それ以外の不満を吸い上げることもできます。例えば、「業務過負荷」などの問題が見つかれば、業務の差配を見直し、その積み重ねによって、全体的な業務の平準化につなげられています。

鈴木:働き方改革によって労働時間改善は進んでいます。一方、近年モビリティ分野の開発難度が格段に上がっているため、例えば、ある従業員が「この仕事を1人で解決するのは困難である」という問題を抱えていた場合、サーベイの結果を通じてはじめてそうした問題の存在に気づくこともあるのです。高い負荷状態が続く前に手を打つことができるから、労働時間だけではなく、業務負荷の平準化にも結びつけやすくなりました。

浅岡様の写真

浅岡: 「従業員の心身の健康を守る」という明確な目的を持って取り組みをはじめ、INSIDESなどのサーベイを用いた施策を実施して、手応えを感じられる段階までくることができました。今後も、従業員にとって働きがいのある会社、誇りに思える会社にしていくために、そのベースとしての働きやすい職場づくりは重要だと思っています。

鈴木:私は従業員が、日曜日の夜に「明日も業務で頑張ろう」と思える会社であることが大切だと思っています。ツールを活用しながら、エンゲージメントを高める目的は、そこにあるはずです。そして、数々の試行錯誤とその積み重ねによって、我々が目指す「笑顔をつくる会社」に辿り着くのだと信じています。

産業医の声

職場と人事、産業医・保健師の連携に欠かせない共通言語
株式会社SUBARU 統括産業医
坂井 洋一郎様

産業医の立場から従業員の心身の健康づくりを支援しています。INSIDESの導入を検討をしている際、私もリクルートマネジメントソリューションズの提案に同席しました。その担当者の「人を中心としたクルマづくりを通じて『安心と愉しさ』を提供するSUBARU。従業員の皆さんにも『安心と愉しさ』を提供しましょう」というメッセージがとても印象的でした。

サーベイツール導入前は、「自分の職場は問題ない」と思い込んでいる上司に対してどうアプローチするかが1つの課題でした。表面上は元気そうに見えても、実は職場の人間関係がうまくいっていない、もしくは業務の負荷が高すぎると感じているなど、部下が問題を抱えている場合もあるものです。そうしたとき、このツールがあれば、異変を察知することができます。

従業員の心身の健康に懸念があれば、当然、我々産業医と保健師が相談を受けるわけですが、「相談されっぱなし」にするわけにはいきません。改善に向けて、本人とその上司に適切なフィードバックをすることが非常に重要です。その際、職場と人事と連携し、サーベイの結果を指標の1つとして共有しています。これからも従業員の心と身体の健康づくりに注力し、その先にある「笑顔をつくる会社」の実現を支援したいと考えています。

今回の取り組みを通じて人事と産業保健スタッフとの間で、ざっくばらんに話し合える関係をさらに深めていき、お互いの良さを生かしながら、人事や産業保健スタッフ自体のワークエンゲージメントも高めていけたらと考えております。

企業紹介

株式会社SUBARU
航空機メーカーのDNAを持ち「安全」を最優先に考えた「人を中心としたモノづくり」を続けている。水平対向エンジンやシンメトリカルAWDなどのコア技術を起点に、新しいカテゴリーの開拓や、運転支援システム「アイサイト」に代表される技術価値を創造。近年では、米国を重点市場と位置づけ、SUVとスポーツモデルを中心とした商品ラインアップとするなど、限られた資源を強みと特長を伸ばすべき分野に集中させる戦略を取り、付加価値の高い商品を通して「安心と愉しさ」を提供している。航空宇宙事業では、「中島飛行機」から続くモノづくりへの情熱を受け継ぎ、多種多様な航空機を開発・生産し、日本の航空宇宙産業をリードしている。

導入事例一覧へ