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ESサーベイの結果から「上司と部下のコミュニケーション」の強化施策を実施。研修現場・メンター・人事課の三者の役割分担をINSIDESが加速させる

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背景・課題

エンゲージメント調査によって上司と部下のコミュニケーション改善に焦点を合わせる

鈴木様の写真

臼井国際産業は、今年で設立83年目を迎えるカーサプライヤーです。内燃機関や自動車向けのパイプの製造を手掛け、国内外のカーメーカーとお取引をさせていただいています。

私が所属している総務部人事課は、そんな当社の採用と教育研修を担う部署です。事業目標の達成に資する人財の獲得や育成の他、従業員が充実して目標に取り組めるような「働きがいのある職場づくり」もミッションです。

といっても「働きがいのある職場づくり」という点については、火急の課題がないように感じられる時期もありました。なぜなら、従業員700名超の企業にもかかわらず、自己都合の退職者数は年間5名以下。世界トップクラスのシェアを誇る「高圧燃料噴射管」という主力製品があり、働き方も比較的ホワイトといえる状態だったからです。

そんななかで社内の状況に注目するきっかけになったのは、離職者数のわずかな増加でした。年間の離職者数が1桁台から2桁台に入り、20名に近づいていくという緩やかな変化が、2017年から2018年にかけて起こったのです。

といっても、700名超の企業で年間20名程度なら、まだまだ平均より少ない数といえます。当時は、内燃機関製品のこれからの需要について議論されたタイミングでもあったので、外的かつ一時的な要因と捉えることもできました。

ただ、「本当に外的要因のせいにしていいのか?」というすっきりしない部分も残っており、当時の総務部長や顧問とも協議して、社内の変化について一度しっかりと把握しようという流れになりました。当時はエンゲージメントという概念が広まった時期でもあったので、2019年にはESサーベイ2を利用して、従業員のエンゲージメント調査も実施しています。

全体の結果は良かったのですが、一部には人事課として汲み取るべき「社員のニーズ」も見えてきました。それは、リクルートマネジメントソリューションズの担当者の方から提出いただいた分析レポートのなかで、総合的な満足度が低い社員は、上司と部下の関係性についての不満を持っていることが多い、という相関関係が明らかになったことです。なかでも「コミュニケーション」「育成」「課題遂行」という3つのポイントにおいて、もう少し会社や上司からのサポートがあると嬉しいというニーズが窺えました。

会社の採用と教育研修を支える人事課としては、すぐに取り組むべき課題だと感じました。まずは「コミュニケーション」と「育成」に焦点を合わせて改善策を考える方針になったことが、INSIDESの導入にもつながっています。

検討プロセス・実行施策

部下の様子を分析するだけでなく、「部下との話し方」まで支えてくれる機能性に惹かれてINSIDESを導入

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「上司と部下のコミュニケーションの満足度を上げたい」という課題に対して、私たちがまず検討したのは、定期面談の導入です。それまでは会社として安定している背景もあり、面談文化を積極的に取り入れる動きはありませんでした。しかし、上司と部下がより良い関係を築くには、対話の量と質、両方を確保する必要があると思ったのです。まず、コミュニケーションの量を確保するために、定期面談制度を取り入れたいと思いました。

一方で、検討を進めるなかで課題となったのは、コミュニケーションの質です。「上司と部下が面談で、どんな話を、どのように話すか」について、どのように質を担保するかに悩みました。

「面談でどんな話をするか」については、人事課がヒアリングシートを作ることで、話題をある程度ガイドすることができそうでした。ただ「どのように話すか」については、相手ありきになりますので、人事課からのサポートが難しい。上司に対して面談研修を行うにしても、1回やれば済むわけではありませんし、そもそも面談は相手に合わせて話すことに意義があります。コミュニケーションの質を上げようとして、面談の内容を画一的に決めてしまうのでは意味がないと考え悩みました。

INSIDESに興味を持ったのは、まさにそのタイミングでした。きっかけは、HRテクノロジー関係の優秀賞をこのサービスが受賞したというニュースを見かけたことでしたが、詳しく調べるうちに、当社の課題解決にぴったりだと感じたのです。

特に注目したのは、対話の質を底上げしてくれる機能が備わっているところでした。世のなかにはさまざまなサーベイがありますが、INSIDESは部下の状態を分析するだけでなく、「部下とどのように話したらいいのか」という実践まで補佐してくれるところが特徴だと思っています。具体的な面談場面を想定した細かいアドバイスシートもいただけて、専門家のフォローも受けられる。面談文化に馴染みが薄い人でも、「相手にこう話してみよう」と思える一歩をくれる。そんなところが、INSIDESを導入する決め手になったと感じています。

INSIDESを活用しながら、研修現場・メンター・人事課の三者で人を育てる組織づくりを目指した

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2020年の冬頃よりINSIDESの利用を開始しましたが、導入フェーズではいきなり課題の核である「上司と部下の面談」で活用するのではなく、まずは数年前から実施していた新入社員向けの面談で活用し、効果を精査することから始めました。人事が実施する施策での実践と成果を踏まえて、社内のメンター制度や定期面談にも少しずつINSIDESの活用範囲を広げていこうと考えたからです。

2020年の冬に人事面談での利用を開始しましたが、翌年度の2021年度は頻度を増やしての実施としました。これは以前から実施していたメンター制度の強化にもつながりました。当社では、研修期間中の新入社員にメンターをつけていたのですが、人事としても何か追加で支援できないかと考えていました。そこでINSIDESを使いながら人事課でも新入社員の状態をモニタリングして、フォローが必要な状態になれば適宜、人事が直接サポートしていくという形にしたのです。

2022年にはさらに役割分担の体制を明確にして、研修現場・メンター・人事課の三者で連携しながら、新入社員一人ひとりをサポートできるようにしました。例えば、新入社員の業務の理解については、研修現場が支える。「こういった研修が自分の将来にどうつながっていくのか」という、新入社員のロールモデル的な悩みは、メンターが支える。新入社員のメンタル面のフォローやINSIDESのモニタリングについては、人事課が行う。このようにしっかりと三者で役割分担をして、適任者が適切なタイミングでサポートできる体制を整えました。

成果・今後の取り組み

INSIDESの導入を経て、「人の心に意識を傾ける大切さ」を育むことができた

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INSIDESを導入したことで変わったのは、部下との接し方だけではありません。人事課のメンバーの「見立て力」が向上したことも、会社にとって良い変化だと感じています。

実は当社の人事課には、人事として比較的経験が浅いスタッフも在籍しています。そういったメンバーも交えて、人事課で分担して面談を管理していくのですが、経験が浅い頃はやはり「見立て力」といいますか、「この人にはフォローが必要だ。危ない」という勘が働かないことも珍しくありません。相手がどういう状態なのかが分からず、対応が遅れてしまうリスクもありました。

しかしINSIDESの導入によって、相手の手がかりが何もないままサポートに入ることはなくなったと感じています。まだ人事経験が浅いスタッフでも、INSIDESのレポートや数値をもとに、「この人は今こんな状態なのではないか」と仮説を立てやすくなったおかげです。INSIDESの担当者の方から解説をいただく前に、人事課で一度仮説を立ててみて、答え合わせをすることも増えました。

何よりも、INSIDESの取り組みを通して、人の心に意識を傾けるのが非常に大切だということに気づけました。例えば「INSIDESの成果って何だろう?」と問われたら、「ただ単純にサーベイのスコアが向上していけばいいわけではない」と答えられる。「人の心ってそういうものじゃないよね。心は波のように行ったり来たりするものだから、全員が良い状態になることを目指すわけではない。一つひとつの状態に向き合うことが大事だよね」――そんな風に、人の心に対する価値観を共有できたことが、INSIDESを導入して得られた成果の1つだと感じています。

今後の課題としましては、こういった気づきをもっと現場のメンターやマネジャーにも広めていきたいという想いがあります。INSIDESには現場にとって使いやすいさまざまな機能があります。例えば閲覧者を細かく設定すると、対象社員の直属の上司だけではなく、そのさらに上の上司にもINSIDESの結果を見てもらうことができるようになります。加えて、メモ機能を使えば人事が行った面談内容も共有することができる。現状では、まだまだ工夫しなければならないことが多いのですが、「ぜひ見てほしい」という願いも込めて、閲覧権限を調整しています。これまで人事やメンター、研修現場での協力体制を築いてきましたが、より多くの立場や役割の方とも協力して、従業員が充実して目標に取り組めるような「働きがいのある職場づくり」に向かって取り組んでいきたいと思っております。

企業紹介

臼井国際産業株式会社
臼井国際産業は1941年の創業以来、自動車部品の製造を強みとしてきたグローバルサプライヤー。静岡県の本社を拠点として全国に自社工場を展開し、海外拠点のネットワークも拡大している。主要製品は自動車に使われるパイプ全般であり、ブレーキチューブや燃料噴射管、フィンチューブといった多種多様なパイプの製造に対応。なかでもクリーンディーゼル車向けの高圧燃料噴射管は世界トップクラスのシェアを誇り、グローバル展開原動力となっている。

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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