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表面の成果だけを見る面談を「従業員一人ひとりの内面まで見る1on1」に変えるため、工場内の全社員にINSIDESを導入

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背景・課題

工場の従業員に「働きやすさ」と「モチベーション」を提供し、想いのある従業員を増やしたい

山田様の写真1

山田:フジッコNEWデリカは、フジッコのデリカ惣菜部門より独立し、2021年8月2日に設立した会社です。私は、その横浜事業部長を務めています。横浜事業部では、私の判断で2022年にINSIDESを導入しました。現在、横浜事業部では社員が40名ほど、パートナーが180名ほど働いており、INSIDESは社員40名が利用するサービスとして導入しています。

INSIDES導入のきっかけは、その前に実施したエンゲージメントサーベイにあります。サーベイ結果を分析して分かったのは、多くの従業員はフジッコNEWデリカで働くことに誇りは感じているが、必ずしも働きやすいとは感じていない、ということでした。また私は以前から、自ら手を挙げて異動を希望する従業員が少ないことが気にかかっていました。

今回、横浜事業部長の私の裁量で工場にINSIDESを導入できたように、フジッコNEWデリカは「やりたい」といえばチャレンジできる会社、自由度や裁量の大きな会社です。だからこそ私は、フジッコNEWデリカを良くしたいという想いを持ち、自ら手を挙げて行動する従業員を増やしたい、と思っており、そのための施策をいくつか進めています。例えば、私は従業員に、転職エージェントへの登録を推奨しています。現在の自分の市場価値を知り、どのようなスキルが社外でも通用し、どういったスキルが社外で活躍するうえで欠けているのかを理解してほしいからです。そのくらいモチベーションの高い従業員が増えることが、この会社を良くすることにつながると思っているのです。

想いのある従業員を増やすために考えた施策の1つが、「1on1」でした。もちろん、これまでも年1回の評価面談は実施していました。しかし、それは表面の成果だけを見る面談になりがちです。そうではなくて、「従業員一人ひとりの内面まで見る1on1」をすることで、従業員に働きやすさとモチベーションを提供し、想いのある従業員を増やそう、と考えたのです。従業員がどうありたいかを傾聴し、相手が望めばプライベートについても寄り添って話を聞くことで、彼らの意志を引き出したいのです。

検討プロセス・実行施策

1on1のスキルをこれから高める上司には、INSIDESが欠かせない

山田様の写真2

山田:今回、INSIDESを導入したのは、私たちが、表面の成果だけを見る面談を「従業員一人ひとりの内面まで見る1on1」に変えるために必要だと考えたからです。実際に私自身が1on1をしてみて痛感しましたが、相手の現状を何も知らない状態から1on1をするのは難しいことです。対話を通して、相手のモチベーションを高めたり、どうありたいのかを傾聴したり、要求を受け止めたりするのは、決して簡単なことではありません。パワーも使います。私は1日に4名と1on1をすることがありますが、終わるとぐったりします。

INSIDESを使えば、部下がいま何を考え、何に悩み、何に不満を持っているか、どのようなワーク・メンタリティにあり、どういった性格タイプなのか、といったことをある程度まで理解したうえで1on1に入ることができます。1on1の難度を少しでも下げるためには、INSIDESを活用して、事前に相手の状態や気持ち、性格を知っておいた方がよいのです。私たちはほぼ全員が1on1未経験者ですから、INSIDESがあった方が間違いなくうまくいきます。特に1on1に必要な対話のスキルをこれから高める上司には、INSIDESが欠かせません。

現在は、事業部長―グループ長の間では月2回、グループ長―一般社員の間では月1回を目標に1on1を実施しています。目標に達しないことも多いですが、できるだけ目標に近づける努力をしています。また、一般社員―パートナー間では年1回の1on1をお願いしています。従来は、パートナーとはトラブルなどがあったときしか1on1をしていませんでしたが、現在は相手に寄り添う形の1on1を定期的に実施しています。

1on1の対話内容は、業務が50%、キャリアプランが25%、プライベートが25%というおおまかな基準を定めています。ただ、副業の相談を受けるなど本当にさまざまなケースがあり、時にはプライベートが100%になることもあります。上司には、部下が話したいのなら、どのような内容になってもかまわないから、できるだけ柔軟に対応してほしいと伝えています。なお、パートナーには退職意向も必ず聞いてもらうようにしています。

成果・今後の取り組み

ある上司が「人員が減るのは困るが、本人のために転職を後押ししよう」という考え方に変わった

作業中の様子の写真

山田:現在は、横浜事業部の全社員がINSIDESを活用し、試行錯誤しながら1on1面談スキルを高めている最中です。私は1on1の時間の90%は部下の話を傾聴しているつもりでしたが、先日計測してみたら、実際は70%ほどしか傾聴していませんでした。どうしてもアドバイスしてしまうのです。1on1を実りあるものにするには、懐を深くしなければなりません。時間はかかりますが、皆着実にスキルを高めているところです。

INSIDESの活用によって、すでに良い変化が起きています。例えば、上司が「窮々 ※1」のメンバーを気にかけるようになり、なんとかしなくてはと思うようになりました。反対に、「充実 ※2」のメンバーは放任でも大丈夫だろう、と考えるようにもなりました。つまり上司が、対話やフォローに時間を割くべきメンバーを絞り込めるようになったのです。それと共に、上司は普段のコミュニケーションにも気を配るようになりました。いずれもポジティブな変化です。

さらなる変化も起こっています。あるグループ長は、退職意向のある部下に対し、部下に寄り添ったアドバイスを行いました。結果的には、本人が希望したとおりに、部下は転職することになりましたが、その過程は素晴らしいものでした。1on1を積み重ねるなかで、その部下の特性や希望をしっかり理解し、さまざまな可能性を考えたうえで、お互いに納得して他の仕事の方がよいだろうと判断することができたからです。「組織事情を考えれば、もちろん人員が減るのは困ります。ですが、本人のことを真剣に考えれば、最終的には転職を後押しした方がよいと考えました」と話してくれました。

こうした変化こそ、私が求めていたものです。1on1によって、このように部下に寄り添い、部下の想いを大事にできる上司を増やすことが、私の目標なのです。もちろん、このときは従業員が1人減ったことで現場は大変になりましたが、他工場と協力して乗り切りました。優秀な従業員ほど、自分が抜けたら迷惑がかかると考えがちですが、実際は1、2名が抜けても回るものです。従業員に無理に続けさせるより、一人ひとりが自己実現できていると実感できる職場づくりをする方が、長い目で見れば職場の生産性は高まると考えています。今後も、自らの想いにしたがって、次のポジションに移りやすい環境をつくっていきたいと考えています。

私たちは今後も、INSIDESを活用した1on1を続けていきます。1on1のポイントは、月1回程度、継続することです。なぜなら、月1回の推移を見ないと、変化が分からないからです。変化に気づけば、対応のしようがあります。良い変化なら見守ればよく、悪い変化なら原因を探ればよいのです。しかし、変化が分からなければ、対応策を講じるのが難しい。私は必要があれば、月1回の1on1を実現するために人員の増強をしてもよいと考えています。部下に対する理解不足が事業部内の負のスパイラルの起点になっている以上、1on1は優先順位の高い施策なのです。

理想は、全従業員が「充実」になることですが、それは現実的ではありません。実際には、「窮々」からいきなり「充実」になることはほぼあり得ません。私たちは、前回の1on1から何か1つでも好転していれば、それを成果と見ています。悪い状態を問題と見るよりも、良くなる兆しに着目した方がずっと建設的だからです。

日本企業の強みの1つは、全身全霊で働いて組織に貢献しようとする従業員が多いことです。私は、人と人のつながりを大事にして、長く一緒に過ごし、お互いに力を尽くし合える仲間づくりを実現したいと考えています。そのためにINSIDESを導入したのです。これからもINSIDESを存分に活用して、従業員の絆を深めていきたいと思います。

※1 窮々とは、5段階のワーク・メンタリティのうち最も悪い状態のこと
※2 充実とは、5段階のワーク・メンタリティのうち最も良い状態のこと

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