当社ABB株式会社は、スイスを本拠地としており1800年代から続く産業のデジタル化に関わるグローバル企業です。1907年に日本に参入し、産業用ロボットなどのオートメーション事業を手掛けています。
当社では、モノを受注して生産し、納品するまでに短くて3カ月、長いと1年くらいかかることがあります。実はいくつかのプロジェクトで、予定通りの予算で納品を完了できず、利益が圧迫されてしまったことがありました。その原因を探ると、どうやら上司と部下のコミュニケーションに問題があるような構図が見えてきたのです。根底には、性格タイプの違いが生むすれ違いがありました。メンバーのエンジニアはコツコツとまじめに積み上げていくことを好む性格なのに対し、上司は結論のみを求めるタイプ。エンジニアは、報告の際にプロセスを共有して手戻りがないように積み重ねていきたいのに対し、上司が結論や変更点の報告だけを求めることに不満を抱いていました。その結果、プロジェクトのなかで重大な問題が起きた場合でも、それが吸い上げられない状態も生まれてしまっていました。
当社は、約9割が工学系のバックグラウンドを持つエンジニアが多い会社。皆、それぞれの分野で高い専門知識を持った人ばかりです。そのなかでも管理職クラスはその道何十年のプロ。マネジメントに関する知識も当然持っています。そのようななかでも起きてしまったすれ違いを解決に導くためには、通り一遍の研修では到底不十分です。何かの知識を伝えて「上手にコミュニケーションしましょう」といったところで解決できるはずもありませんし、それは管理職に対する尊敬や理解が足りない。そんなことはできているよと。真の課題を解決するためには、もっと深いところで解決していかなければならないと考えました。